自転車を運転する前に、知っておきたいこと(春の交通安全運動に寄せて)
目次
春の交通安全運動が、昨日4月6日(15日まで)から始まりました。
自転車は、免許も必要ない、年齢制限もない、そして体にも環境にもやさしい。こんなに便利でエコな乗り物は、他にないですね。
そんな自転車ですが、最近、事故などでトラブルも多く、昨年6月から常習違反者には、講習義務が課せられるようになりました。賠償金も約9,000万円という高額もある事実、皆さんご存知でしたか?
そんな事故を防ぐ、そして万一の事故に備えるをお伝えしたいと思います。
交通ルールを学んで守ることで、事故を防ぐ
- 自転車は、どこを走ればいいの?
- 車道が原則、車道の左側を走行してください。つまり、自転車は自動車と同じ「車両(軽車両)」なんです。歩道を走る場合は、歩行者優先で、車道よりを徐行してください。
- 自転車を運転して、ルールを守らないと罰金があるんですか
- あります。自動車事故などで耳にされていると思いますが、道路交通法という法律で定められています。
①飲酒運転ー5年以下の懲役又は100万円以下の罰金(酒酔いの場合)②2人乗り(※)ー2万円以下の罰金または科料※16歳以上の運転者は、1人を幼児座席に乗せることができます。(ヘルメットを着用させる)③並進走行(横に並んで通行すること)ー2万円以下の罰金または科料④車道の右側走行ー3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金⑤夜間ライトを点灯しないー5万円以下の罰金⑥信号無視ー3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金⑦一時停止をしないー3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金⑧遮断踏切立ち入り(警報機が警報している間)-3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金⑨ブレーキ不良(備えていない)自転車運転ー5万円以下の罰金⑩傘差し運転ー5万円以下の罰金⑪携帯電話使用運転ー5万円以下の罰金⑫イヤホーン等使用運転ー5万円以下の罰金
- 平成27年6月1日から始まった自転車運転者講習制度って何ですか?
- ①14歳以上の人が自転車運転者が危険行為(14項目※)を3年以内2回以上すると公安委員会の命令によって3か月以内の指定された期間内に講習を受けなければなりません。
②講習時間:3時間 講習手数料:5,700円
③受講命令に従わなかった場合ー5万円以下の罰金
(※)信号無視/通行禁止違反/歩行者用道路における車両の義務違反( 徐行違反) /通行区分違反/路側帯通行時の歩行者の通行妨害/遮断踏切立入り/交差点安全進行義務違反等/交差点優先車妨害等/環状交差点安全進行/義務違反等/指定場所一時不停止等/歩道通行時の通行方法違反/制動装置( ブレーキ) 不良自転車運転/酒酔い運転/安全運転義務違反
- こどもを自転車に同乗させる時のルールを教えてください
- ①一般の自転車ー16歳以上の運転者は、幼児(6歳未満)一人を幼児用座席を設けた自転車に乗車させることができます。さらに16歳以上の運転者は、幼児(6歳未満)一人を子守りバンド等で背負って運転することができます。
②幼児2人同乗用自転車ー16歳以上の運転者が、幼児2人を乗せる場合には、言っていお安全基準を満たした「幼児2人同乗用自転車」を使わなければなりません。また、幼児2人を同乗させた場合は、幼児を背負って運転することはできません。
万一の事故に備える
自転車事故のリスク
自分がけがをする | 他人にけがをさせる | 財物を壊す |
自転車事故で問われる責任
刑事上の責任 | 民事上の責任 |
事故例
賠償額(※) | 事故の概要 |
---|---|
9,521万円 | 男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。( 神戸地方裁判所、平成25(2013)年7月4日判決) |
9,266万円 | 男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。(東京地方裁判所、平成20(2008)年6月5日判決) |
6,779万円 | 男性が夕方、ペットボトルを片手に下り坂をスピードを落とさず走行し交差点に進入、横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。女性は脳挫傷等で3日後に死亡した。(東京地方裁判所、平成15(2003)年9月30日判決) |
(※)賠償額とは、判決文で加害者が支払いを命じられた金額です(上記金額は概算額)。
自転車事故に備える
自転車には、自動車のように、国で強制的に加入しないといけない保険や点検はありません。気軽な乗り物だけに、万一の時も気軽に考えていたら、取り返しのつかないことになるかもしれません。
自動車事故 | 自転車事故 | |
---|---|---|
損害賠償に備える保険(強制加入) | 自賠責保険 | × |
損害賠償に備える保険(任意加入) | 任意の自動車保険 | 個人賠償責任保険など |
対象 | 事故の相手 | 自分 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
保険の種類 | 生命・ からだ | 財産 | 生命・ からだ | |
個人賠償責任保険 | ○ | ○ | × | 各損害保険会社・共済で取扱う商品 |
傷害保険 | × | × | ○ | 各損害保険会社・共済で取扱う商品 |
TSマーク付帯保険 | ○ | × | ○ | 自転車安全整備店で購入または点検整備を行い基準に合格した自転車に貼付される商品(保険期間1年間) |
個人賠償責任保険は、家族に1契約でOK、示談交渉サービス付が便利
個人賠償保険は、火災保険・自動車保険・傷害保険・積立火災保険・積立傷害保険に特約としてついているものがほとんどです。
個人賠償責任と名称ですが、「生計を共にする同居の親族」に補償されますので、契約は1つで大丈夫です。また、子供には「生計を共にする別居の未婚(これまでに婚姻歴がないこと)の子」が含まれますので、例えば親から仕送りを受けている未婚の学生についても補償の対象となります。
この重複をなくすことで、1契約につき1,000円~3,000円の年間保険料を節約ができます。
示談交渉サービスとは、被害者の相手と示談をするために、診断書をとりつけたり、見積書をもらったり、加害者にかわって被害者と示談に向けて話し合ってもらえるサービス。また、自動車同様事故には、過失割合が発生する。そういった交渉もしてもらえるので助かります。
直接加害者が被害者と話すのは、申し訳ないという気持ちと、何か弱みに付け込まれそうだったりとできればさけたいもの。また、保険金を支払うのは、保険会社であるため過失割合などがある場合、そのことも被害者に言わないといけないので、かなり精神的に負担になると、実際経験した方から伺っています。
示談交渉サービスは、今年4月に各保険会社で商品の見直しがされておりまして、自動車保険に特約としてつける個人賠償責任保険のほとんどが示談交渉サービス付になっております。(保険開始日が4月以降)ご契約の保険会社・担当者にご確認ください。
けがや生命の万一に備える傷害保険
傷害保険には、日常生活・スポーツ・仕事中などでのけがも補償される普通傷害保険と交通事故のみのけがを補償する交通傷害保険があります。
対象は、本人タイプ・夫婦タイプ・家族タイプと3種類があります。
けがの保障の範囲も、①死亡・後遺障害のみ②死亡・後遺障害・入院③死亡・後遺障害・入院・通院のほか、治療費が出るタイプ、入院一時金が支払われるタイプなどがあります。(保険会社によって違いますのでご確認ください)
また、自動車保険のなかにも、人身傷害保険に自転車転倒によるけがの補償があるものや交通傷害保険を特約としてつけられるものもあります。(保険会社によって違いますのでご確認ください)
まとめ
気軽に乗れる自転車ですが、道路交通法というルールのもとに運転しなければなりません。また、事故例でもあるように人命にかかわる事故になる場合もあります。だからこそ、日ごろから交通標識などにも注意して、周りにも自分にもやさしい運転に心がけましょう!