不適切統計「追加給付」の対象者って?!

昨年12月に厚生労働省が毎月公表している賃金などに関する「毎月勤労統計」について、調査手法に誤りがあることが分かりました。これにともなって、表の追加給付額の564億円に加えて給付遅れに伴う金利分の加算額は、計37億円、事務費の約195億円を含め追加給付に必要な費用は総額約795億円が2019年度追加予算に組み込まれました。

新しい情報があり次第、下段に追加してまいります。(1月31日)

 

「毎月勤労統計」とは

「毎月勤労統計」は、労働者の賃金や労働時間などを把握するため、厚労省が都道府県を通じて実施しているものです。また、この統計は、追加給付対象となる失業給付や労災の休業補償などの給付額以外にも、国家公務員の給与決定(人事院勧告)や企業のベースアップ・建設工事の人件費の基礎資料として、また国内総生産(GDP)の計算にも用いられるなど、56種類ある国の「基幹統計」の一つです。

不適切統計「追加給付」とは

今回の追加給付が発生した原因は、「毎月勤労統計」の調査において、東京都内にある従業員500人以上の事業所約1400全てで実施されているはずが、平成16年(2004年)から約3分の1の500程度にしか実施されてなかったことが発覚したことによるものです。都内は大企業が多く、賃金も他の道府県より高い傾向であることから、問題発覚を受けて、再計算した結果、統計上の平均給与額が上昇しました。

たとえば失業給付では、原則として離職前の賃金の80%~50%相当額が支払われますが、その給付の上限額・下限額を設定する際の基準値として平均給与額が使われています。再計算の結果平均額が上昇したことにより、給付の上限額・下限額も上昇することになります。よって今回の追加給付が必要となるということです。

対象の方や事業主は

対象は、平成16年以降に①雇用保険の失業給付・育児休業給付・介護休業給付など②労災保険の労災休業・遺族年金など③船員保険の障害年金や遺族年金などを受給されていた方や④雇用調整助成金を受給された事業主です。

追加給付の対象となる方や事業所のうち、住所データが残っているところには、システム改修等の準備が整い次第、①追加給付の対象となっている旨、②追加給付額などの連絡が郵送されます。

「追加給付」の問題点は

問題は、システム改修等の準備はいつごろになるか、つまり「いつごろ受け取れるか」ということと「住所データが残ってない人(推計延べ1,000万人以上)は、どうしたらいいか」ということです。
システム改修等は、数か月かかるとみられ、追加給付は春以降になる見通し(読売新聞19日付掲載) 住所データが残ってない人が、延べ1,000万人以上と予想されるのは、受給申請書の保管期間は5年で、期間が過ぎた書類は破棄されているからです。こういった方は、自ら申し出るしかありません。しかし申し出ても、受給実績や本人確認したうえで追加給付を行うことになるようですので、それなりの証明が必要ですね。

給付から5年以上たっている方は、まずはお問い合わせダイヤルに電話されてみてはいかがでしょう?住所データがあるかどうかなどの目安を確認してください。
次に、今後の⼿続に役⽴つ可能性がある書類(下記掲載)を確認してください。書類が見当たらない場合は、雇用保険関係は、ハローワークに確認してみるとわかる場合があるようです。通帳に振り込み記載があるか、源泉徴収書などで基本給付額が計算できる可能性があります。また事業者の場合は、決算書や確定申告書の控えで給付額が確認できることが期待できます。

雇用保険関係の給付を受給された方
平成16年(2004年)8⽉以降に以下の給付金を受給された方

≪対象となる給付≫
◆ 基本⼿当、⾼年齢求職者給付⾦、特例⼀時⾦、傷病⼿当
◆ 個別延⻑給付、訓練延⻑給付、広域延⻑給付、地域延⻑給付
◆ 就業手当、再就職手当、常⽤就職⽀度⼿当、就業促進定着手当
◆ ⾼年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付
◆ 教育訓練⽀援給付⾦
◆ 就職促進手当(労働施策総合推進法)、失業者の退職手当(国家公務員退職手当法) 等

≪対象とならない給付≫
・技能習得手当(通所手当、受講手当)、寄宿手当 ・移転費、求職活動支援費(広域求職活動費、短期訓練受講費、求職活動関係役務利用費)
・教育訓練給付
・日雇労働求職者給付金

ただし平成16年(2004年)8⽉以降に給付を受けた方でも、時期や賃⾦⽇額によって追加給付の対象にならないことがあります。

≪今後の⼿続に役⽴つ可能性がある書類(保管しておく)≫
【雇用保険の失業等給付】受給資格者証、被保険者証
【政府職員失業者退職手当】失業者退職手当受給資格証等
【就職促進手当】就職促進手当支給決定通知書など支給の事実が確認できる書類


追加給付の対象になる方のうち、ハローワークで住所を把握している方については、以前利用した際の登録住所に、追加給付の連絡が郵送されます。

雇用調整助成金を受給された事業主
平成16年(2004年)8月から平成23年(2011年)7月までの間及び平成26年(2014年)8⽉以降に、休業、教育訓練又は出向の初⽇を設けて雇⽤調整助成⾦(中⼩企業緊急雇⽤安定助成⾦を含みます。)を受給されている場合、追加支給の対象となる可能性があります。

≪今後の⼿続に役⽴つ可能性がある書類(保管しておく)≫
支給申請書類一式(⽀給申請書やその添付資料の賃⾦台帳等)、支給決定通知書

所在地情報が残っている事業主については、準備が整い次第、追加支給の連絡が郵送されます。

労災保険の給付を受給された方
平成16年(2004年)7⽉以降に次の給付を受けた方

≪対象となる給付≫
◆ 傷病(補償)年⾦、傷病特別年⾦
◆ 障害(補償)年⾦、障害特別年⾦
◆ 遺族(補償)年⾦、遺族特別年⾦、遺族特別⼀時⾦
◆ 休業(補償)給付、休業特別⽀給⾦等
ただし支給額の再計算により、金額に変更のない場合もあります。

≪今後の⼿続に役⽴つ可能性がある書類(保管しておく)≫
⽀給決定通知・⽀払振込通知、年⾦証書、変更決定通知書

追加給付が必要な方に対しては、労働基準監督署に労災請求をする際に登録された連絡住所に、今後、追加給付の連絡が郵送されます。

船員保険の給付を受給された方
平成16年(2004年)8⽉以降に次の給付を受けた方

≪対象となり得る給付≫
◆障害年金、遺族年金
◆障害手当金、障害差額一時金、障害年金差額一時金、障害前払一時金、遺族一時金、遺族年金差額一時金、遺族前払一時金
◆職務上傷病手当金、休業手当金
◆職務上葬祭料
◆傷病手当特別支給金、第2種特別支給金、障害特別支給金、遺族特別支給金、経過的特別支給金、休業特別支給金、予後特別支給金

≪対象とならない給付≫
・介護料、行方不明手当金
・療養費、移送費、職務外傷病手当金、職務外葬祭料、高額療養費、高額介護合算療養費、出産育児一時金、出産手当金

≪今後の⼿続に役⽴つ可能性がある書類(保管しておく)≫ ⽀給決定通知・振込通知、年⾦証書、

追加給付の対象者の方に対しては、全国健康保険協会又は日本年金機構から追加給付の連絡が郵送されます。

高齢者などには、申し出漏れや詐欺に注意!

15年も前になると、受給者本人が、ご高齢などで理解できない場合もあるかもしれません。そういった場合、まずは一緒に調べてあげるなどして、申し出漏れがないようにしましょう。

また、今回の追加給付についての、厚生労働省、都道府県労働局、ハローワーク(公共職業安定所)、労働基準監督署、全国健康保険協会又は日本年金機構から、直接電話がかかってくることはありません。これらをかたる電話があった場合は、詐欺などにかかわる疑いがありますので注意しましょう。

追加(1月31日)

Q. 給付金がもらい過ぎていた場合は、返さないといけないの?

A. 返還する必要はありません。(請求はありませんので、上記同様犯罪に巻き込まれないようにご注意ください)