金融リテラシーとは何か?日本FP学会で再確認した“自分らしい判断”を支えるFPのかたち

金融リテラシーとは「知識を得ること」ではなく、「自分らしい判断ができるようになること」。
日本FP学会第26回大会での講演を通じて、私が描いてきたファイナンシャルプランナー像と、生活者に寄り添う支援のあり方を改めて確認しました。
本記事では、FPとしての原点と、これからの金融教育の方向性について綴ります。

※このコラムは「制度と暮らしをつなぐ学会レポート」シリーズの第1回です。
「選択の智慧」メニュー内で、生活者の納得感を支える視点を3回にわたって発信しています。



2025年10月、日本FP学会第26回大会に参加しました。
その中でも特に印象に残ったのが、金融経済教育推進機構(J-FLEC)理事長による講演です。

「金融リテラシーとは、家計管理・ライフプラン・資産形成の知識を持ち、自分らしい判断ができるようになること。そして、必要に応じて専門家の力を借りることも含めて“判断できるようになる”こと」

この言葉に、私は鳥肌が立つほどの共感を覚えました。
これは、私自身が描いてきたFP像そのものです。



FPとしての原点──“夢の実現”を支える存在でありたい

ファイナンシャルプランナー(FP)の役割は、単に知識を伝えることではありません。
生活者が“自分事”として捉え、行動に移せるように支援すること。
理想や夢に近づくプロセスを伴走しながら支え、実現の一歩を踏み出すきっかけをつくること。
そして、喜んでもらえる瞬間に立ち会えることが、何よりのやりがいです。
ここで言う“夢”とは、ただ描くだけの理想ではありません。
日々の積み重ねによって形になっていくもの。
お金の仕組み化だけでなく、ご自身の意識や行動の変容が必要になる場面もあるでしょう。
また、ご家族の協力が不可欠になることもあります。

 

お金の見える化と“その後”の支援

実際、相談の場では「お金の見える化」によって安心され、笑顔で帰っていかれる方も多くいらっしゃいます。
しかし、その後どうなったかを知る機会は少なく、私の経験上、前に進めていないケースも少なくありません。
だからこそ、FPは“その場限り”ではなく、“その後”に寄り添う存在でありたい。
制度や情報をわかりやすく伝えるだけでなく、生活者が行動に移せるよう支援すること。
それが、これからの金融教育のあり方であり、私自身の活動の軸でもあります。

 

まとめ:金融リテラシーは“自分らしい判断”を育てる力

金融リテラシーは、知識を得るだけではなく、「自分らしい判断ができる力」を育てること。
そして、必要に応じて専門家の力を借りながら、日々の暮らしの中で積み重ねていくこと。
FPとして、生活者のウェルビーイング実現に向けて、“夢の実現を支える支援”をこれからも続けていきます。

このコラムは「制度と暮らしをつなぐ学会レポート」シリーズの第1回として、生活者の選択と納得感を支えるヒントをお届けしました。
次回は、第2回として「家計管理のタイプ別アプローチ」「消費者教育の体系化」「年金制度と社会貢献の関係性」について、生活者目線で掘り下げてご紹介します。