キャッシュフローは万能ではない——数字に魂を込める人生設計へ
「キャッシュフローを整えれば、人生は安心」——そんな言葉を聞いたことはありませんか?
確かに、収支の流れを“見える化”することは、将来の不安を減らす有効な手段です。
けれど、その“安心感”は本当にあなたの暮らしに寄り添っているでしょうか。
平均的な前提条件で整えられた数字が、自分の価値観や生活背景にどこまでフィットしているのか。
その問いから、私は「キャッシュフローは万能ではない」という視点で、人生設計を見つめ直す連載をNOTEで発信してきました。
キャッシュフロー表は仮定の地図
キャッシュフロー表は、未来のお金の流れを“見える化”する便利な道具です。
しかし、その地図は「収入は毎年2%増える」「教育費は平均値」「老後の生活費は現役時代の7割」など、仮定の前提で描かれています。
数字が整っていても、実際の暮らしや価値観が反映されていなければ、納得感のある選択にはつながりません。
だからこそ、設計の出発点は「自分の前提に立ち返ること」。それが、数字に魂を込める第一歩です。
設計は“誰と”するかで変わる
住宅購入の相談を受けたある方は、「安心」と言われたキャッシュフロー表を前に、踏み切れない迷いを抱えていました。
表には映っていない要素——お子さんの進路、親の介護、働き方の見直し——が、暮らしの輪郭を揺らがせていたのです。
FPはモノを売るのではなく、人生の伴走者。
誰と一緒に設計するかによって、見える未来は大きく変わります。
数字に命を宿す3つのステップ
納得感ある人生設計のためには、数字だけでなく「暮らしの温度」や「選択の背景」を含めた設計が必要です。
そのために、私は次の3ステップを提案しています。
- 自分の言葉で思いを残す
「こうしたい」「こうありたい」という願いやつぶやきを、手帳やメモに書き留める。 - 現状をざっくり把握する
通帳残高や家計の収支などを、誕生日や記念日など“意味のある日”に記録する。 - 前提条件を添えて記録する
「この収支は昇給2%を前提にしている」「教育費は私立文系・下宿ありで年間150万円を想定」など、一言添えるだけで、未来の自分を助ける羅針盤になります。
“見える化”より“見直せる化”へ
人生には転機があります。仕事、家族、健康、住まい——そのたびに地図を見直すことが必要です。
平均に安心するのではなく、自分の前提に立ち返ること。
“見える化”された数字に頼るのではなく、“見直せる化”された設計を持つこと。
それが、納得感ある人生設計につながるのだと思います。
このコラムは、NOTEで発信した4弾シリーズのエッセンスを凝縮したものです。
シリーズ全文はこちらからご覧いただけます:
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