2020年4月~高等教育の修学支援新制度がはじまります。

高等教育の無償化に向けた「大学等修学支援法」が5月10日に成立しました。

「大学等修学支援法」では、すでに2017年よりスタートしていた日本学生支援機構の住民税非課税世帯の学生に向けた給付型奨学金制度が見直し・拡充されています。「セカンドライフの資金計画」のセミナーや個人相談を担当していますが、お子さんの教育費を負担と感じている方は多いです。今後低所得者世帯だけなく、一般所得世帯でも負担減が広がることを期待したいですね。(以下5月17日現在での日本学生機構ホームページより情報をまとめています。)

6月以降、学校を通じて奨学金募集案内の予定になっています。日本学生支援機構のホームページに随時更新される情報に気を付けて下さい。

制度の概要

対象となる学校

大学・短期大学・高等専門学校・専門学校

進学先の大学等が「機関要件」を満たしていないと給付奨学金対象校にはならず、給付奨学金を受けることはできませんので注意が必要です。

支援の内容

①給付型奨学金支給額の拡充(日本学生支援機構)▽クリックで拡大

②授業料等の減免制度の創設 ▽クリックで拡大

対象となる学生

①住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生で、成績だけで判断されず、本人の学習意欲を重視されます。

②高校3年生及び卒業から2年以内の人、大学在学生が新たに支援の対象となります。また、平成29年度から31年度までに給付型奨学金に採用された方も切り替えることができる予定となっています。

③高卒認定試験合格(見込)者等について
2020年に進学を予定している高卒認定合格(見込)者については、機構へ直接申込みを行います。詳細は6月上旬に公表予定。

学生を含む世帯収入

被扶養者の所得も住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯と所得に応じた3段階の支援があります。(両親、本人・中学生の4人家族の場合) ▽クリックで拡大

入学してからの学業・人物に係る要件

要件として、2つのケースがあります。

①次のいずれかの場合には、大学等が 「警告」を行い、それを連続で受けた場合には 支援を打ち切る。

1:修得単位数が標準の6割以下の場合
2:GPA(平均成績)等が下位4分の1の場合 (斟酌すべきやむを得ない事情がある場合の特例措置を検討中
3:出席率が8割以下など学習意欲が低いと大学等が判断した場合

②次のいずれかの場合には、直ちに支援を打ち切る。なお、その態様が著しく不良であり、懲戒による退学処分など相応の理由がある場合には支援した額を徴収することができる。

1: 退学・停学の処分を受けた場合
2:修業年限で卒業できないことが確定したと大学等が判断した場合
3:修得単位数が標準の5割以下の場合
4:出席率が5割以下など学習意欲が著しく低いと大学等が判断した場合

今回の制度は、学生が大学等でしっかり学んだうえで、社会で自立し、活躍できるようになることを目的としています。支援も、学業に専念するため、学生生活を送るのに必要な学生生活費を賄えるように、「給付型奨学金を拡充」し、学校の種類ごとに標準額までの「授業料等の減免」をうけることができるようになっています。「大学等への進学後は、その学習状況について厳しい要件を課し、これに満たない場合には支援を打ち切ることとする。 」とあるのも当然のことといえるのではないでしょうか。

知っておくと便利なこと

進学資金シミュレーション

学生・生徒、保護者保護者、学校職員などが利用できます。
①学生生活費シミュレーション
②奨学金シミュレーションができます。
シミュレーションした金額がそのまま適用するとは限りませんが、おおよその目安がわかります。ぜひ一度試してみてください。▽クリックすると別窓でサイトへ移動します

高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)サイト

高校等の生徒向けに「高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)サイト」が5月下旬に公開予定です。

奨学金相談センター

電話:0570‐666‐301(ナビダイヤル)
海外からの電話、一部携帯電話、一部IP電話からは03‐6743‐6100
月曜~金曜:9時00分~20時00分(土日祝日・年末年始を除く)
奨学金相談センターは、貸与・給付、及び返還に関する相談に対応しています。

最後に

学歴で生涯賃金に差がでる現代社会。親からするとぜひとも進学してほしいというのが本音です。しかし、今回の制度では、本人の意識が重要視されます。無理に勧めるのではなく、親子で話し合いながら、それぞれの将来を見つめてほしいと思います。朗報ではありますが、奨学金申込みスケジュールが例年より若干遅くなっています。AO入試や推薦入試は、早いところで夏頃から始まります。親子で協力しながら早めの準備をはじめましょう。

(参考資料:文部科学省「高等教育段階の教育費負担軽減(平成31年02月14日付)」、日本学生支援機構ホームページ)