50代のお金の準備|最初の一歩は、悩みのタイプで決まる
「お金の準備は、何から始めればいいですか」
50代の方から、本当によくいただく質問です。
私が相談を受け始めた30年前は、今より金利が高く預けておけば増える時代で、老後の生活を細かく心配する方は多くありませんでした。
状況を一変させたのは、2019年の老後2000万円問題です。
それ以来、老後のお金は誰にとっても気になるテーマになりました。
ただ、気になるのは同じでも、悩みの中身や重心は一人ひとりまったく違います。
お金の準備とは、単なる数字の計算ではありません。
不安や希望といった感情と、収支や資産という勘定の両方を、同じ机の上に広げて整える作業です。
同じ50代でも、悩みは大きく3つのタイプに分かれます。
まずは今の自分がどのタイプに近いかを見つけてみてください。
最初の一歩は、タイプによってまったく違います。
タイプ1:「したいこと」ができるかを判断したい方
このタイプに当てはまる方は、ある程度の資金準備の目処が立っています。
そのうえで、仕事を少しセーブして学び直す、好きなことに時間を使う、住まいを変えるといった希望を持っています。
悩みは「足りるか」ではなく、「本当にやってよいのか」という踏み出す判断です。
このタイプの最初の一歩は、したいことを金額と時期に置き換える作業です。
いくら、いつ必要なのか。それを働き方の見通しや、公的年金の受け取り時期(繰上げや繰下げの選択肢)と組み合わせることで、できる範囲がはっきりと見えてきます。
たとえば「60歳で仕事を半分にして学び直したい」という場合。
必要な学費と期間、その間の手取り収入を書き出してみます。
感情の希望を勘定の数字に並べるだけで、「今すぐできる」のか「少し時期をずらせばできる」のかが見えてきます。
現状が見えると、悩みは「やってよいのか」という迷いから、「いつ、どう進めるか」という具体的な計画へと変わります。
タイプ2:年金・退職金と「どう働くか」のバランスを探している方
このタイプの方は、ある程度の退職金が見込めるものの、本格的な資産運用はしてこなかったケースが目立ちます。
「まだ先も働いたほうがいい気はするけれど、どんな働き方を選べば年金や退職金とうまくバランスが取れるのか分からない」という状態です。
このタイプの最初の一歩は、「年金と退職金に対して、どのくらいの就労収入を補えば暮らしていけるか」の基準線を引くことです。
まずは毎月の予想支出から受取予定の年金を差し引き、足りない分をどう補うか(就労収入で賄うのか、退職金から取り崩すのか)を整理します。ここを決めずに運用先を探しても、いついくら必要になるのかが決まりません。
働き方が変われば、加入する社会保険制度が変わり、手取りも将来受け取る厚生年金の額も連動します。
会社で再雇用されて厚生年金に加入し続ける道、短時間勤務にする道、個人事業主として国民年金や国民健康保険に切り替わる道。
「年金」「退職金」「働き方による収入」の3つを並べてシミュレーションすることで、無理のない働き方と、退職金の置き場所(運用に回す枠と手元に残す枠)が自然に定まります。
タイプ3:「何から手をつければいいか」が見えない方
貯蓄にも、これまでのキャリアにも自信が持てず、「とにかくこの先が不安」と感じて足が止まってしまっているタイプです。
このタイプの最初の一歩は、「足りない現実を怖がらず、現状を1枚の紙に書き出すこと」です。
足りないと分かることは行き止まりではなく、これからの暮らしを整える出発点です。
今日できる具体的なアクションは、次の2つです。
- マイナンバーカードを使ってマイナポータルから「ねんきんネット」にログインし、現時点の年金見込額を画面で確認してメモする
- 直近1ヶ月分の通帳や明細を見て、家賃や水道光熱費など「必ず出ていく固定費」だけを抜き出す
年に1度のハガキを待つ必要はありません。オンラインで今の正確な数字を机の上に乗せるだけで、漠然とした霧は晴れ始めます。 職歴の棚卸しを丁寧に行うと、ご本人が思っている以上に「これから活かせる経験」も見つかります。次に打つ手は、現状を見てから考えれば十分に間に合います。
どのタイプでも、確認の順番は変わりません
どのタイプにいる場合でも、確認する順番は決まっています。
ねんきんネットを使えば、受給開始時期をずらしたり働き方を変えたりした際の見込額もすぐに試算できます。
年代ごとの確認ポイントは、当オフィスの「年代別セカンドライフ準備のロードマップ」でも整理しています。
特に「40代後半〜59歳」の時期は、退職金見込額、ねんきんネットによる試算、住宅ローンの完済時期の把握が必須です。
タイプは、変わっていきます
退職やご家族の状況の変化、体調によって、ご自身のタイプは移り変わっていきます。「したいことができるか」を考えていた方が、住まいや介護の事情で「何から手をつければいいか」に近づくこともあります。
ですから、一度決めて終わりにせず、状況が変わったらその都度見直せばよいのです。今の自分がどのタイプに近いかを知るだけで、最初の一歩は決まります。
まずはご自身の数字を並べることから
同じタイプの方でも、家族、住まい、働き方、これまでの加入履歴で答えは変わります。漠然と捉えているうちは、不安はなかなか小さくなりません。
ご自身の数字で試算してみて、はじめて「足りる」「ここを調整すれば足りる」が見えてきます。
まずはご自身の数字を机の上に並べ、客観的に眺めてみてください。
そのための整理ツールとして、「お金の準備シート」を作成しました。
以下のリンクからダウンロードして、分かる項目から埋めてみてください。
一人で整理するのが難しいときは
自分の数字を書き出してみても、制度の仕組みが複雑で判断がつかない場合や、ご自身の働き方と年金の組み合わせを具体的にシミュレーションしたい場合は、個別にご相談ください。
当オフィスでは保険や金融商品の販売・仲介は一切行わず、中立な立場で感情と勘定の両方を整理するお手伝いをしています。
これからの人生(ライフプラン)を、一緒に整えてみませんか
ミラボでは、金融商品を売らない独立系FPとして、あなたらしいライフデザインを軸に、50代からのお金と働き方を整えるサポートをしています。
これからの暮らしに向けて、お金と働き方を整えたい方
スポット相談(60分)の詳細はこちら
まずは気軽に参加して情報交換や対話をしたい方
お金と働き方のカフェの詳細はこちら
この記事を書いた人
京極 佐和野(きょうごく さわの)
ライフバランスメンター/FPオフィス ミラボ(福岡・筑紫野)
相談業務に30年以上従事。CFP®(1級FP技能士)・国家資格キャリアコンサルタント。金融商品の販売を行わない立場で、資産形成・運用・年金といった「お金の設計」を土台に、働き方や生き方全体の調和を整える「ライフバランスメンター」として活動。公的就労支援や学び直しの現場経験も活かし、50代からの持続可能な人生設計に伴走しています。
代表プロフィールの詳細はこちら
選び直すための本棚はこちら


