【就職氷河期世代②】「勝ち組」と言われた50代へ
就職氷河期世代の50代が、それぞれの道から人生後半を選び直すための全3回のシリーズです。2回目は、正社員の席をつかみ、それを守るために走り続けてきた人へ。

「勝ち組」の側にも、言えなかったことがある
就職氷河期と呼ばれた時代に、正社員の席をつかんだ人たちがいます。面接を何十社も受け、ようやく手にした内定。周りからは「勝ち組」と言われました。
でも、その席を守るために、どれだけ走り続けてきたでしょうか。代わりはいくらでもいる、と言われる中で、長時間働き、異動や転勤を受け入れ、家族のためにと踏ん張ってきた。辞めるという選択肢は、最初から頭の中になかったかもしれません。
「恵まれているのだから、弱音を吐いてはいけない」。そう思って、しんどさを口にできなかった人も多いのではないでしょうか。
50代、区切りは会社の都合でやってくる
50代に入ると、役職定年、早期退職の募集、定年後の継続雇用といった言葉が、急に身近になります。肩書きが外れ、収入が下がり、これまでの働き方が通用しなくなる。その区切りは、たいてい自分ではなく、会社の都合でやってきます。
走り続けてきた人ほど、立ち止まり方を知りません。「会社が決めてくれる」流れに乗ってきたからこそ、自分で選ぶ場面になると、何から考えればいいのか分からなくなるのです。
会社の外でも通用する力を、確かめておく
長く一つの組織で働いてきた人は、自分の力を「会社の中での評価」でしか測ってこなかったかもしれません。でも、厳しい時代に席を守り抜いてきた中には、調整する力、粘り強さ、後輩を育ててきた経験など、会社の外でも生きる力が必ずあります。
肩書きが外れる前に、それを自分の言葉で棚卸ししておく。それが、これからの働き方を自分で選ぶための土台になります。
お金の準備も、同時に始める
働き方を考えるのと同時に、お金の現実にも向き合っておく必要があります。区切りが来てからでは、選べる道が狭くなってしまうからです。
- 収入の変化を見込む:役職定年や継続雇用で、手取りがどれくらい変わるのか
- 退職金や企業年金を確かめる:いつ、いくら、どう受け取るのか
- 公的年金を知る:自分はいくら受け取れそうか
- 制度を活用する:NISAやiDeCo、企業型DCなど、今から使える制度を見直す
- 家計を整える:住宅ローンや教育費の残りも含めて、収入が下がっても暮らせる形にしておく
お金の見通しが立つと、「会社にしがみつくしかない」から「自分で選べる」へ、気持ちが変わっていきます。
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年金・退職金と働き方のバランスをどう考えるか、最初の一歩はこちらのコラムでまとめています。無料でダウンロードできる「お金の準備シート」もご用意しています。
50代のお金の準備|最初の一歩は、悩みのタイプで決まる
おわりに:肩書きのあとに、何を残しますか
これまでの人生は、会社と家族のために走り続けてきた時間だったかもしれません。それは誇っていい時間です。そのうえで、これからは自分の意思で選び直す番です。
最後に、ひとつ問いを置いておきます。
「肩書きがなくなったとき、あなたに残したいものは何ですか」
思いついたら、紙に書いてみてください。そして、それを「何を、いつまでに、どうやって」叶えるか。働き方とお金を並べて考えることから、人生後半の選び直しは始まります。
一人で考えるのが難しいときは、一緒に考える場があることも、思い出していただけたらと思います。
シリーズ「就職氷河期世代の選び直し」
- 悔しさを抱えてきた50代へ
- 「勝ち組」と言われた50代へ(この記事)
- 「このままでいいのか」と思う50代へ
この記事を書いた人
京極 佐和野(きょうごく さわの)
ライフバランスメンター/FPオフィス ミラボ(福岡・筑紫野)
相談業務に30年以上従事。CFP®(1級FP技能士)・国家資格キャリアコンサルタント。金融商品の販売を行わない立場で、資産形成・運用・年金といった「お金の設計」を土台に、働き方や生き方全体の調和を整える「ライフバランスメンター」として活動。公的就労支援や学び直しの現場経験も活かし、50代からの持続可能な人生設計に伴走しています。
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